日本において、慢性的な少子化傾向にはあることは周知の事実なのではないでしょうか。にもかかわらず教育業界には依然大きな需要があります。
ある程度経済的にゆとりがある家庭は、子どもの習い事や塾通いに非常に協力的な傾向があります。
文部科学省の学習費調査の結果によると、私立校に通わせる家庭の1人当たりにかける教育費は年々増加傾向であると発表されています。
また、教育というのは生きていく上で最も大切なものの一つであるという認識の方が多いため、この業界で開業したい、社会貢献したいと考える方は多いのではないでしょうか。
いざ、「塾を開業したい!」となった時の、お悩みとしてよく聞くのが塾の開業方法についてです。
個人塾で開業した方がよいのか、それともフランチャイズで開業するかの2択で悩まれる方が多い印象です。
まったくのゼロスタートの個人塾も魅力ですが、ノウハウのあるフランチャイズ加盟での開業も魅力ですよね!
今回はそんな方に向けて、
1:フランチャイズ加盟で開業した際のメリット
2:個人塾で開業した場合のメリット
3:フランチャイズと個人塾、メリットとデメリットは表裏一体
4:良いフランチャイズの条件とは
5:こんな方は個人塾がおすすめ
についてお伝えしたいと思います。
1:フランチャイズ加盟で開業した際のメリット
ノウハウやスキルの指導・アドバイスを受けることができる
ある程度の規模や実績があるフランチャイズ本部であるならば、本部の経営指導、学習指導の教育ノウハウや使用教材にいたるまで指導を受けることが可能なので、未経験者でも、安心して始められます。
また、物件探しや教室の内容、営業ツールに至るまで、塾開業に必要なものは一通りパッケージ化されています。経営自体が初めての方でも安心してスタートできます。
ブランド力が使える
信頼が重視される塾経営では、フランチャイズ本部のブランド力はとても大きな恩恵を受けることができます。
特に集客の部分で認知度の高いフランチャイズは魅力的です。また金融機関からの融資を受けやすくなるケースがあります。
開業したい方が教育業界で全く実績がなかったとしても、有名塾であれば信用も高く、生徒や保護者も既に名前を知っているため、生徒募集もしやすいというメリットがあります。
多店舗化しやすい
2店舗目、3店舗目を作り出すノウハウや多店舗の経営のノウハウも揃っているので、学習塾の経営が初めてだったとしても多店舗展開をしやすいです。
これは長期的に考えると一番大きなメリットかもしれません。
2:個人塾で開業した場合のメリット
加盟費用がかからない
加盟費用や初期費用など、フランチャイズで開業する場合は必ずかかります。また、初期費用が少なくてもロイヤリティで経営が圧迫される場合もあります。
教材やカリキュラムなど自由度が高い
フランチャイズは様々な部分がパッケージ化されているので、何でも自由に自分で決めたいという方は少しストレスがたまるかもしれません。
また教材なども指定されていると他塾との差別化も図れないとか、生徒ごとに合わせられないというケースもありえます。その分個人塾は自由度が高いといえます。
店舗の立地を自由に選ぶことができる
フランチャイズの場合はエリア指定等があるので、もしご自分が建てたい場所に同じフランチャイズの塾が近くにあった場合は建てられない可能性があります。個人塾はその点、場所選びは自由に決められます。
3:フランチャイズと個人塾、メリットとデメリットは表裏一体
ここからは、フランチャイズと個人塾、それぞれで開業する際のデメリットをご紹介していきます。
フランチャイズで開業する場合のデメリットとは
フランチャイズで塾を開業する際のデメリットでもっとも大きいものは、やはり「初期投資」でしょう。
ネームバリューのあるフランチャイズ塾に加盟すれば、その知名度の高さで生徒募集が比較的容易になりますが、知名度があるということは加盟するための費用もそこそこかかる、ということになります。
初期費用として、この加盟金がかかる場合があり、相場は100万円~300万円ほどが主流で、会社によってばらつきがあります。
フランチャイズ塾としてスタートするためには、教室のデザインや雰囲気などを他のフランチャイズ店と合わせる必要も出てきます。
そのために、教室に使う物件の借り上げや部屋の改装などを行う必要が生じるときもあります。
フランチャイズで塾を開業するには、初期投資としてフランチャイズへの加盟金や保証金、教室設備投資関連費でだいた500万~800万ほど出費する必要があるかもしれません。
さらに、開業した後、月ごとにロイヤリティ(使用料/手数料)が課されます。
フランチャイズの中でも塾のフランチャイズはロイヤリティが高めに設定されていることが多いようです。
フランチャイズ塾のロイヤリティが高いのは、教材の提供や教育現場に合わせたバージョンアップ、そして学習状況や受験に関する分析など、ソフト面でのサポートに力を入れる必要があるからです。
初期投資や毎月のロイヤリティなどの費用がかかることに加え、塾経営にも制限がかかります。
フランチャイズ塾では、どの教室でも同じ教材、同じ進度で行うことが求められるため、フランチャイズオーナーの自由にできることが制限されるのです。
指導の仕方などもフランチャイズ本部の方針に従うことになり、フランチャイズ塾独自での教材を選択できません。
自分のやり方で、自由に教育活動をしたい方にとっては、ちょっと窮屈でストレスが溜まる経営となるかもしれません。
個人で塾を開業する場合のデメリットとは
このようなフランチャイズでの資金面、自由度の面でのデメリットに対して、個人で開業する場合は費用も抑えることができ、オーナーの思い通りに経営することができます。
個人経営なら加盟金やロイヤリティも必要なく、自宅を使って塾を開くことで賃貸料も発生しません。
教材も、手作りのほかオーナーの好きなものを使うことができます。
しかし、これらのメリットは、そのままデメリットにもなるのです。
まず、オーナーがよほど世間に知られていない限り、個人塾は無名でのスタートとなるので知名度が低く、生徒を呼び込むにはかなりPRに力を入れなければならず、開業後しばらくの間は経営が困難になるかもしれません。
そして、教材や経営方針をオーナーが決めることができる反面、大手フランチャイズ塾のように膨大な教育関連データを手に入れることが困難なので、時代に合わせたカリキュラムの策定に支障が出ることも考えられます。
また、フランチャイズのように有名でなければ、講師を雇用しようと募集をかけても、なかなか応募がなかったり、求める人材が集まらなかったりすることもあるでしょう。
大手フランチャイズ塾もそのスタートは個人経営の塾だったのかも知れませんが、個人経営が軌道に乗って安定するまでには一定の期間が必要となります。
塾生が集まらなければ経営自体が行き詰ってしまいますので、大手のような訴求に関するアピール力がないというリスクをどこまでとることができるかが、個人塾が成功するかどうかのポイントになるでしょう。
このように、それぞれのメリットはそのままデメリットとなり、逆にメリットがデメリットになることもあります。
フランチャイズで開業するか、それとも個人塾で開業するか悩んでいる場合は、どちらのメリットをより優先するのかを考えるといいかもしれません。
4:良いフランチャイズ3つの条件とは
周りの塾との差別化がしっかりとされている
個別対応の塾として認知されているのか、中学受験で有名なのか、大学入試に強いのか塾でもカラーは様々です。
どの部分で他塾とは違う差別化がされているのかという点が明確だと、位置づけが確立していて、開業後安定して経営がしやすいです。
ノウハウやサポートの充実化がされ、多店舗展開も明るい
ノウハウやサポートの充実化は加盟前に徹底的に確認するとよいと思います。
また、すでにそこのフランチャイズ加盟で塾経営をされている方で多店舗展開できているオーナーが多数いるかどうかもチェックするとよいと思います。
生徒が集まりやすい知名度があって、脅かされないエリア保証がしっかりしている
フランチャイズの加盟を決定する前に、自分の知人や友達で、生徒や保護者の世代の人がいればそこのフランチャイズの塾を知っているかどうかのリサーチをするとよいと思います。
また、エリア保証については、人口密度によってかなり違うので、ご自分が建てられる立地周辺の対象生徒の人口を調査し、問題ない広さのエリア保証をしてくれていればOKでしょう。
上述の3つの良いフランチャイズの条件がそろっていて、説明会等でスタッフの方が親身になってくれ、嘘偽りなく惜しみなく説明してくれる誠実さなどを肌で感じるところであれば、利益を上げていくことが可能なフランチャイズと言えるのではないでしょうか。
あとは、加盟金等の費用の部分でクリアできるかが肝心だと思うので、こちらはしっかり計画するとよいと思います。
5:こんな方は個人塾がおすすめ
個人的には教えることに自信やキャリアがあるという方で、自分の教え方にこだわりがある方は、個人塾で初めてみるという選択もありなのではないかと思います。
利益よりも社会貢献が目的だからというスタンスの方も自宅のスペースで経費をかけないで地域ボランティア的な個人塾がよいかもしれません。
しかしながら、生徒募集についてや、経営的に利益を出していけるかどうか非常に不安だと思われる方、色々情報収集をまずはしたいと思う方なども、生徒募集のノウハウ・経営的なアドバイスなどフランチャイズが有利な部分もありますので、一度説明会などで話を聞いてみるのも良いかもしれませんね。
今回は、フランチャイズ加盟で塾を開業するメリット、個人塾のメリット、良いフランチャイズの条件、個人塾が向いている方についてご説明しました。塾開業をご検討の方、ご参考頂けたら幸いです!