フランチャイズで独立開業する場合、「個人事業主として経営する方法」と「法人を設立する方法」の2つがあります。
どちらもメリット・デメリットがありますし、自分自身の現状と将来的にどうしたいのかによってもどちらが良いかは変わってきます。
そこで今回の記事では、個人事業主と法人のそれぞれのメリット・デメリットを説明しながら個人事業と法人どちらがおすすめなのかを解説します。
フランチャイズ開業で個人事業にするべきか法人にするべきか迷っているという方はぜひ参考にしてみてください。
<目次>
●フランチャイズ開業での個人事業主のメリット・デメリット
●フランチャイズ開業での法人のメリット・デメリット
●フランチャイズで個人事業主と法人どちらがおすすめ?
フランチャイズ開業での個人事業主のメリット・デメリット
個人事業主としてフランチャイズ開業をする場合、主なメリットとしては「開業の手続きに時間と費用がかからない」「税務申告が簡単」「利益が少ないうちは税負担が少ない」の3つが挙げられます。
メリット1.開業の手続きに時間と費用がかからない
個人事業主の開業手続きは、税務署に開業届を提出するだけです。開業届の記入も難しいことはなく、費用も時間もかけずにできます。
この手軽さは個人事業主でフランチャイズを開業する大きなメリットといえます。
メリット2.税務申告が簡単
個人事業主は毎年自分で確定申告を行う必要がありますが、簿記の知識があまりない人でも経理ソフトを使えば自分自身で必要書類を作成できます。
一方で、法人の場合は専門知識が必要な法人税の申告書を作成しなければならないため、税理士に作成を依頼することが多くその分の費用がかかります。
もちろん個人事業主でも税理士に依頼する人もいますが、法人に比べると税理士費用は安くなることが多いです。
メリット3.利益が少ないうちは税負担が少ない
個人事業主が支払う税金は、所得税、住民税、個人事業税、消費税の4種類ありますが、法人が支払う税金5種類よりも少ないです。
また、利益が少ないうちは個人事業主のほうが税金は低くなります。
ただし、事業が軌道に乗ってきて規模が拡大すると、法人よりも納税額が多くなる場合もあります。
詳しくは後述しますが、納税額が増えてきたら個人事業主から法人化するタイミングといえるでしょう。
次にフランチャイズ開業を個人事業主でする場合のデメリットですが、主に「経費の範囲が狭い」「失業保険が受けられない」の2つが挙げられます。
デメリット1.経費の範囲が狭い
個人事業主は法人と比べると経費で認められている項目の幅が狭くなっています。さらに、個人事業主の最高税率は所得の40%です。
つまり利益が上がれば税率も上がるという累進課税のため、売上と所得をしっかり把握しておくことが大切です。
デメリット2.失業保険が受けられない
個人事業主としてフランチャイズ開業する場合、失業保険は受けられません。
万が一、会社を辞めて失業保険を受給したままフランチャイズを開業してしまうと違法となる場合もあるので注意が必要です。
また、健康保険の扶養も対象外になります。
フランチャイズ開業での法人のメリット・デメリット
フランチャイズを法人で開業する場合、主なメリットは「費用計上の範囲が広い」「社会的な信用の高さ」の2つが挙げられます。
メリット1.費用計上の範囲が広い
個人事業主であっても事業に関連したものであれば様々な出費を経費として計上できますが、法人化することで計上できる経費の範囲がさらに広がります。
中でも、自分と家族の給与が経費として認められる点は法人でフランチャイズを開業する最大のメリットといえるでしょう。
メリット2.社会的な信用の高さ
法人のほうが個人事業主と比べて社会的な信用は高いといえます。
もちろん個人事業主であっても長く事業を運営していれば信頼を得ることはできます。
しかしながら、開業したての頃で実績がないうちは、個人事業主よりも法人のほうが信用度は高くなります。
次に法人でフランチャイズ開業をする場合のデメリットですが、「複雑な事務手続き」「金銭的な負担」の2つが挙げられます。
デメリット1.複雑な事務手続き
前述のとおり、個人事業主であれば税務署に開業届を提出すれば手続きは終わりですが、法人の場合は、法人登記、法人設立届の提出、税務申告など複数の事務手続きが必要です。
個人事業主に比べると断然手間がかかるといえます。
デメリット2.金銭的な負担
法人の場合、社会保険料を会社と個人の折半で支払う必要があります。
つまり、個人事業主よりも金銭的な負担は大きくなります。
フランチャイズで個人事業主と法人どちらがおすすめ?
フランチャイズを開業する際、個人事業主から始めて一定規模以上になってから法人化するほうがリスクは少ないといえます。
特に独立開業が始めての方は、小さく始めて大きく育てるつもりで取り組むほうが始めやすいのではないでしょうか。
ここで、フランチャイズオーナーの体験談を複数ご紹介します。
飲食店フランチャイズオーナー
『個人事業主として独立し、2店舗目を出したタイミングで売上の規模によって法人化を決めました。現在は4店舗を経営しています。』
コンビニエンスストア・フランチャイズオーナー
『独立当初は苦労もありましたが、スーパーバイザーや本部の手厚いサポートのおかげで、半年後には少し余裕を感じられるようになりました。その余裕ができたタイミングで次の店舗に挑戦し、結果として6店舗まで拡大することができました。法人化は3店舗の時で、社員も6名まで増えました。』
学習塾フランチャイズオーナー
『開業3年10ヶ月で法人化しました。フランチャイズ開業直後は苦戦しましたが、2年半後に2校目を開校し、その翌年には3校目を開校、そして法人化しました。』
このように、フランチャイズ開業後は個人事業主で始めて事業が軌道にのってから法人化するフランチャイズオーナーが多いです。
やはり独立開業の直後はすぐに売上が立たないことも珍しくないため、手間と費用をおさえながら個人事業主から始めて、ある程度の規模になってから法人化するほうがおすすめといえます。
また、個人事業主から法人に切り替えるタイミングですが、判断基準は「税負担」です。
個人事業主の場合、利益に応じて所得税が課税されます。つまり、利益が増えれば増えるほど税率が高くなります。
一方で、法人の場合、基本的に利益が増えても税率は変わりません。つまり、法人化するタイミングとしては「個人事業主として、所得の税率が高くなるとき」がベストといえます。
具体的には、所得が700万円を超えてきた辺りから法人を検討し始めるといいでしょう。
また、年間の売り上げが1000万円を超えると消費税の納税義務が生じるため、売上も常に留意しておく必要があります。
つまり、所得税と消費税負担を考慮した上で「所得が700万円以上になりそうな場合」と「年間の売上が1000万円以上になる場合」が法人化を検討するベストなタイミングといえます。
さいごに
フランチャイズで開業する場合、個人か法人のどちらでスタートするか迷われる方も多いかと思います。
独立開業が始めての方であれば、やはり個人から始めていくほうがリスクは少なく心理的なハードルも低いでしょう。
そして事業が拡大してから法人化を考えるのでも遅くはありません。
フランチャイズ本部によっては、オーナー同士の交流に力を入れているところがあります。
先輩オーナーに法人化の相談をしたり体験談を聞くこともできたりするので心強いはずです。
ぜひ、フランチャイズ本部を選ぶ際にはオーナー同士の交流があるかどうか確認をしてみてください。
もしあなたが学習塾でのフランチャイズ開業に興味がおありでしたら、個別指導学院Hero’sがオーナー同士の交流や勉強会を開催しているのでおすすめです。
詳しくはこちら⇒オーナー同士の繋がりが経営に安定を生む
同じ立場からの話や経験談を聞けるので参考になること間違いありません。
気になった方は、ぜひ一度お問い合わせしてみてください。